平成16年1月16日 Vol 95 |
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月10万円で暮らせる町 というタイトルで琴海町が紹介されちゃった。さあ、大変。 添加の、じゃない天下の「週刊朝日」1月23日号でドッカーンと書かれたもんだから、例によって、電話、メールが殺到。もちろん、そういう取材を受けちゃった自分が悪いので、誰の責任でもない、自業自得なのだけれど、対応に大わらわ。 で、自分は構わないのだけれど、役場に迷惑をかけてしまった。「月10万円で暮らせる町」とうたわれると、町自体がそういう町なんだなという印象を与えてしまう。だから、このご時世ということもあって、「おれも役場に問い合わせてみよう」という人が出てくる。 実際、すぐに役場から電話があって、「週刊朝日を見たと言って、問い合わせがきているんですが、金子さんの電話やメールを教えてもいいでしょうか」と言ってきた。 うちへ直接かかってくる電話やメールの数から推量して、問い合わせは2件や3件ではないだろうし、まだまだ当分は続くと思われる。役場のみなさん、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。 うちは確かに1ヶ月の生活費は10万円で収まってます。だから、「月10万円で暮らしている人」と紹介されるなら、誰にも迷惑はかけないし、謝ることもないんだけど、「町」と言われたら、誰でも10万円で暮らせると思われてしまうんじゃないだろうか。もし、そう思わせてしまったら、これは罪なことですよ。 現に、うちへ直接メールを打ってきた近畿の人は、「中学生と小学生の子どもを持つ者ですが、リストラが決まっていて家も貸家に住んでいて貯金もない。都会では暮らせないので、そちらに行って暮らしたい。いいところを紹介してほしい。真剣です!」と言ってきた。 もちろん、ていねいに応対はしたけれども、応えた内容は、相手をがっかりさせるものとなった。「それでも、あきらめきれません。真剣なんです!!」と再びメールが来たが、正直な意見を述べ、もっとよい相談先を紹介してお引き取り願った。 元旦の朝日新聞にも載ったので、その新聞や週刊誌を見たと言って、テレビの取材申し込みが3件あったのにも驚いた。すべてお断りしたけれど、どうしていまのマスコミは、同じ人間ばかり追いかけて平気なのだろうか。ほかの媒体が取り上げた同じ人を、あとから真似して取り上げて恥ずかしいと思わないのだろか。自分の足で探せよと言いたい。古いタイプの元マスコミ人として、気になったので聞いてみたら、若い取材者は、「え、どうしてですか」と質問の意図が分からないようで、なに言ってんだこの親父、という感じだった。 あの人はいま それでも、なかには嫌じゃない電話もくる。 こんども来た。大学時代、仲が良くてよく遊んでいた友人から、それこそ卒業以来なので何十年ぶりになるのか。こいつは、大学の頃から放浪のけがあって、卒業後、パッタリ音信不通になっていた。インドでも歩いて野たれ死んだかと思っていたら、どっこい生きていたと言う。 歌とギターが得意で、父ちゃんがヨーロッパ・アルプスへ行くと言ったとき、学校の庭でギターを弾き歌を唄って、学生からカンパをしてもらった。帽子の中にいくらかの銭が入った。そんなこともあったなと言うと、そうだったっけ、それよりおれはお前におごってもらったカツ丼の味がいまでも忘れられねえよと言った。顔は見えないし、たとえ見えたとしても見分けがつかないかもしれないけれど、声はしっかり覚えていた。 書かれていない部分 月10万円どころか、「1ヶ月の生活費が3万4500円」の琴海町のKさん夫妻は、本当にそれだけで暮らして行けてるんだろうか。しかも、「現金収入は年間50万円ほど」だ。 まあ、うそはついていないのだけれど、書かれていない部分もあるので補足したい。「生活費」のなかには、このほかにも項目はあるということ。臨時の出費もある。それが書かれていない。それから、「現金収入」というのはあくまでも現金収入であって、収入の中には現金ではない収入もある。それも書かれていない。だから、これだけがすべてではないということをはっきりさせておきたい。 それと、これはうちとは関係ないことだけど、富山県・庄川町のMさん一家の生活費。1ヶ月の生活費が8万1377円と出ているが、その表の枠外に「住宅ローン9万円/月」となっている。これを、「月10万円で暮らせる町」と言っちゃっていいのか。いけないんじゃないかと思うけど。 生活費を稼ぐ 百姓、漁師、炭焼き師、賞金稼ぎと何でもやる課の父ちゃん、最近はセンセイ稼業が忙しい。講演につぐ講演で稼ぎまくってはいないけど、少し稼いでる。 また、しゃべって1ヶ月の生活費を稼いできた。 今回は、「長崎県市町村教育委員会社会体育担当者連絡協議会」からの要請で、79市町村の担当者を前にして、「生涯スポーツ」に関しての講演。 「よくやるよ」という悪友連の声が聞こえてきますが、やるんです。 でも、今回は初めて失態を演じました。頼まれていた時間よりかなり短い時間で終わってしまったのです。いつもは、性格通り正確に時間を守るのですが、どうしたわけか、用意していた話を途中で抜かしてしまって、アレッと思ったときには話が終わりに来ていたのです。腕時計を机の上に置くのも忘れていた。話の流れからして前には戻れない。で、幕。 まあ、退屈して聴いていた人たちにとっては、早く終わってよかったのかもしれないけれど、担当者には申し訳ないことをしてしまった。飯盛町の酒井さん、ごめんなさい。どうも、今週は、人様に迷惑をかける運勢らしい。 それでもいただけるものはしっかりいただいて帰ってきたのであった。 腰を痛めた? あっちへ行っても、こっちへ来ても、行く先々で、「金子さん、腰を痛めたって聞いたけど、大丈夫ね」と聞かれる。驚いたのは、初めて訪ねてきた人からも、「腰はいかがですか」と心配されたこと。 「なんでよ、おれ、腰なんかぜんぜん痛くないぜ」 あとで分かった。肩と膝が痛くて、この前、町立病院へ行った。整形外科の前の椅子に座って本を読んでいた。そのとき、何人かの知り合いに声をかけられた。「ハイ、肩と膝を痛めて」と応えた。それが、いつの間にか、「肩とどこやらを痛めたと言うとった」になり、やがて、「肩と腰」になり、ついには、「腰を痛めた!」になってしまったのだ。 この手の情報は機関車よりも速く、インターネットよりも速く町内を駆けめぐる。さすがにお見舞い品はまだ届いていないが、そのうち来るかもしれない。そうだ、来たら、腰を痛めたことにしちゃおう。あ、イテテ、腰が…。 |