沖縄その1


1996年11月頃
 私が勤めている会社は、基本的に社員旅行なんてものはないのだが、この時期、本社が神戸地震のおかげで受注が増え、儲けたらしくて、急に社員旅行に行けるという話になった。行き先は沖縄・宮古島である。とはいえ、私が勤めている所はホテルだからして、みんなでまとめて旅行に出るという事はできず、先に女性陣が出発し、帰ってきたところで我々男性陣(って、2人だけしか行かなかった)が出発するという、変則的な社員旅行となっていたりする。そういうわけなんで、旅行中に社内恋愛を発展させるとか、そんな大それたことはできなかったのだが、別にする気もないので、まあどうでもいい。
 しかも、出発当日の午後まで私は仕事だったりする。仕事が終わった後に、もう一人行く先輩と待ち合わせしていた場所チトセピアに行き、そこから大村空港へ行って、飛行機乗って、一路沖縄へ。沖縄からは、また飛行機を乗り継いで、宮古島へと到着する。当然のように、すでに夕方になっているので、この日はホテルで本社や白浜の方のホテルの人たちと合流して、夕飯のバーベキューで親睦を深めるという展開に。どうでもいいが、男ばっかりやな。夜中にフラッとホテルを出てみると、〈ドイツ文化村〉という、ドイツの古城マルクスブルク城を模した建物を中心とした、アミューズメント施設に隣接していることに気づく。
 それから次の日は、あらかじめ観光業者から選択を要求されていた中から、「観光めぐり」を選んでいたので、午前は宮古島の観光めぐりに出発する。ちなみにその他、「釣り」「ダイビング」があった。熱帯植物園で植物を見、泡盛工場で出来立て泡盛を飲み、シースカイ号で海底の様子を見学して、来間島の遠見台に登ってみるなどした。
 午後から自由行動時間になったので、私は当然のごとく、独りで島をまわることにする。タクシーに乗ってビュッと目指すは〈漲水御嶽〉へ。ここは宮古島の創世神、古意角姑意玉の男女神が祀られている場所である。沖縄では、こういった聖域の事を「御嶽」と呼んでいるそうな。本土の神社とどう違うのか、わくわくしながらタクシーの運転手に「〈漲水御嶽〉に行ってください」と言うと。「あそこはたんなる神社」という素っ気もない返事が返ってきた。実際、行ってみると、なんてことはない神社である。ただ、やはり、本土とは違って、石造りではある。説明書があったので読んでみたが、ガイドブックに書いてあったことと、同じ事が書かれてあり、ちょっとガッカリ。
 その後、タクシーに乗って〈仲宗根豊見親墓〉に向かう。ここは「みゃーか」という宮古島独特の形式と、本土の形式を合わせた石の墓で、コロッセウムを彷彿させる階段状の石組が印象的だという。写真を見ると、階段状の石組に異国のものが感じられて、おおっと思ったが、実際に行ってみると、想像よりも規模は小さかった‥‥。
 とりあえず、宮古島の歴史を調べられるなんかいいとこないかタクシーの運転手に聞いてみたところ、〈平良市博物館〉があるという。ただ、閉館間際だったので、大急ぎで向かうことに。博物館では、古代の宮古島の住人の像があって、「おお、マッドメン」と思いながらそれを撮影したが、それ以外に特に目をひくようなものは無い。あらかじめタクシーの運転手から忠告されていた通り、博物館を出ると、タクシーを捕まえられそうな気配は無い。まあいいかと思いながら、しばらくの時間歩いみることにする。博物館の周辺は、さほど建設物がなく、とても静かでのどかである。幾分か歩いていると、平良市の繁華街へとついた。繁華街とはいえ、チンケな本屋さんばかり。こんなところでは生活したくないと私は思ったりする。
 それから〈宮古空港〉の所まで歩いてからタクシーにのり、ホテルへと帰っていく。次の日の午前中に帰ったので、それ以上、まわることはできなかった。他にも〈マムヤの墓〉等行きたかったが、社員旅行だからしかたないとあきらめることに。
 ちなみに私はこの旅行から帰って1年後くらいに、テレビドラマ『ブラックアウト』のビデオを全巻セット2000円で売ってあったので購入したのだが、その中に宮古島が登場するエピソードがあって、私が止まったホテルや博物館などが登場していて、なかなか見ていて楽しかった。


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