第1回 CPUのクロック変更

 

第1回は何にしようかと悩んだのですがPC自作やってる人なら1度はやったことがあると思われる

CPUのクロックの変更について書いてみます。

 

”CPUクロックの変更って何のためにやるの”と思われた方のために

それぞれのメリットとデメリットを挙げてみます。

 

オーバークロック
(クロックを上げる)

ダウンクロック
(クロックを下げる)

メリット

○処理能力が上がる

○消費電力が下がる

○発熱が下がる

デメリット

○消費電力が上がる

○発熱が上がる

○PCが壊れることがある

○処理能力が下がる

主に、遅いPCの速度を何とか底上げする、もしくはCPU能力を使い切りたい人がオーバークロックして使います。

まぁ、1万円で買った1.8GHzのCPUが2万円以上する2.2GHzCPUと同じ速度で動いたりするもんなので

(そんな速度は必要なくても)自分の気分を良くする為にやるという説もありますがw

ほかにも、有用な活用法としてダウンクロックして発熱をおさえ、

冷却用のファンの回転数を下げてPCの駆動音を静かにするというのもあります。

 

 

それでは、それぞれの項目別に説明したいと思います。

 

オーバークロック(以下OC)

  項目 説明
メリット ○処理能力が上がる そのまんまです。
同じ種類のCPUであれば性能はクロックに比例するのでクロックを上げた分だけ処理能力は上がります。
デメリット1 ○消費電力が上がる CPUの消費電力(TDP)は
クロックとコア電圧(cpu内の電圧)の2乗に比例します。
OCでより高クロックを出すにはコア電圧を上げた方が良い結果が出ますが、その場合TDPはかなり上昇します。
デメリット2 ○発熱が上がる CPUで消費された電力は殆んどが熱に変換されます。
OCでTDPが上昇した分、当然発熱量は増えます。
デメリット3 ○PCが壊れることがある。 発熱が増えることでCPU自体が化学変化等で
劣化し寿命が縮むことが有ります。
また、電圧の変更等でメモリバスやPCIバスに流れる電圧やクロックにも
影響を与え寿命を縮める事が考えられます。

 

OCの方法は主に下記の2種類が使われてます。

        ◎FSB(フロントサイドバス)のクロックを上げる

◎CPUの倍率を変更する

 

FSBとはCPUとチップセットを結ぶ線(電気の通り道)みたいなもんです。(色々略)

CPUのクロックはベースクロック×倍率で決まります。

ベースクロックはAthlonXP系はFSBの1/2、Pentium4系はFSBの1/4

Pentium3系はFSBと同じになります。

(ちなみに、Athlon64はいろいろあって複雑ですが確か基本は200MHzでメモリの動作によって若干変わったような・・・)

また、BIOSの設定画面ではFSBの設定はベースクロックと同じ数値で書かれています。

(もともと、FSBのクロック自体はベースクロックと同じで
そのクロックの解釈方法でデータの受け取り量を2倍(DDR)や4倍(QDR)にしているためかな?)

よって、BIOSの設定等でFSBを上げてやるとCPU自体のクロックも上昇します。

例:FSB400MHz(100×4)でクロックが2.3GHzのCeleron(Pentium4ベース)のFSBを533MHz(133×4)にすると、

(2300MHz/100MHz)×133MHz=3059MHz

となります。

 

では、倍率変更によるOCとはどう違うのか。

分かりやすいように表で書いてみます。

  倍率変更によるOC FSB変更によるOC
メリット ○FSB及びほかのバスに影響を与えない。

○チップセットの耐性による影響を受けない。

○倍率変更でOCするよりFSBが高い分いくらか速い。
   (ただしメモリの同期、非同期による影響も大きい)

○ほとんどのCPUで試せる。

デメリット ○倍率変更できるCPUが限られる。
 (Intel系はまず無理かと・・・。)

○CPUの改造で倍率変更に対応する
  ようになるものもあるが難易度が高い。

○FSB以外のバスが不安定になり、故障の原因になることがある。

○チップセットの耐性にも影響を受ける。

倍率変更もFSB変更と同じく主にBIOSで設定します。

今のところ倍率変更できるのはモバイルAthlon系と改造済みのAthlonXP(サンダーバード、パロミノ)、

2003年35週〜42週以前に製造されたAthlonXP(サラブレット、バートン)だけみたいですね。
(たしかDuronも同様です。)

ただしCrystalCPUIDなどの倍率変更機能を持ったソフトの中には

VIAのC3やAthlon64の倍率変更にも対応したものもあります。

負荷に応じてクロックを変えたりする機能もあるフリーソフトですので

対応CPUを持っている方は一度試してみるといいと思います。
(ただし、モバイルAthlon系とAthlon64系、C3系のみ対応の機能)

 

では、それぞれの項目の説明です。

 

 

倍率変更によるOC

  項目 説明
メリット1 ○FSBやほかのバスに影響を与えない FSBのデメリット1を参照してください。
メリット2 ○チップセットの耐性による影響を受けない FSBのデメリット2を参照してください。
デメリット1 ○倍率変更できるCPUの種類が限られる 上記のとおりです。
デメリット2 ○CPUの改造で倍率変更に対応するものもあるが難易度が高い Athlon、Duron系の中の一部(サンダーバード、パロミノ、スピットファイア、モルガン)はCPU上にあるL1ブリッヂと呼ばれる配線をすべて結線してやることで倍率変更できるようになります。
しかし、これらの結線は非常に細かい作業になるうえに、隣の配線と繋がったりすればPCが起動しなくなるので危険度も高く、初心者にはあまりお勧めは出来ません。
何というか、コアなオーバークロッカー向けですねw

余談ですが、2003年35週〜42週以降に作られたAthlonXP(バートン、サラブレット)はブリッヂに関係なく倍率固定のようです。
以前倍率可変と思って2400+を勧めたら固定でした。
今沖縄にいる友人K君、ごめんなさい。

 

 

FSB変更によるOC

  項目 説明
メリット1 ○倍率変更でOCするよりFSBが高い分いくらか速い FSBはチップセットとCPUを繋ぐ線ですが、そのチップセットはメモリとも繋がっています。
CPUとメモリはやり取りが多いためFSBの速度が上がるとメモリ上のデータにアクセスする速度が速くなりそういった処理をするのが早くなります。

ただし、FSBとメモリの速度が同じとき(FSBとメモリの同期している)にFSBだけを上げた場合、FSBとメモリのクロックが異なってしまう(FSBとメモリは非同期である)ためそれを合わせるためにいくらか時間を消費してしまい、結果として遅くなってしまうことがあります。

メリット2 ○ほとんどのCPUで試せる。 そのまんまですw
今出ているCPUのなかでこの方法でOCできない種類は(私は)知らないです。

ただし、この方法が使えないマザーボードもあるので注意!
(メーカー製のPCなどは割と多そう。)

デメリット1 ○FSB以外のバスが不安定になり、故障の原因になることがある 前述のFSBとメモリの同期にも通じる話です。
FSBやメモリバス同様、PC内のほかのバスにもそれぞれの動作クロックと動作電圧があります。
下手にクロックや電圧を上げすぎたりすると他のバスのクロックも同期して上昇したりして様々な周辺機器に悪影響をおよぼす場合があります。

なかには、PCIバスやAGPバス等の動作固定が出来るチップセット(nfoce2等)もあるので一概にそうとは言えないです。

デメリット2 ○チップセットの耐性にも影響を受ける FSBとはCPUとチップセットを繋ぐ線なのでCPUに耐性があってもチップセットのほうがそのバスクロックに耐え切れなければ動作は出来ません。
ついでに言うと、チップセットに耐性がありCPUのOC耐性があってもCPU側ののバスに耐性が無ければ動作は出来ません。

これに対して、倍率変更のオーバークロックは純粋にCPUのオーバークロック耐性が試せます。

 

ということで個人的にはお勧めは倍率変更ですね。

ってか、一目瞭然ですかね(汗

 

ただし、CPU毎にデフォルトの動作FSBが何種類かあるので

それに合わせればほかの部分にはほとんど影響は無いです。
それでもCPUのバス耐性には依存しますが

 

たとえば、AthlonXPにはFSBが266,333,400と3種類のタイプがあるので

マザー(というかチップセット)が全種類対応していて

CPUにバスとクロックの耐性があれば

デフォのFSBが266でも333や400にクロックアップしても問題は起こりにくい(と思う)です。

これに倍率変更を組み合わせれば

もともとが1.4GHz(133×10.5)のCPUを1.4GHz(200×7)にすることが出来ます。

このようにクロックはそのままでFSBを上げることで無理なく性能を伸ばせるというわけです。

 

 

さて、ダウンクロックに関してですが

ここまでの説明を逆に考えれば良いのでワンポイントアドバイスのみで失礼しますね。

 

ダウンクロックで重要となるのが消費電力(TDP)。

前述のとおり消費された電力はほとんど熱に変わるので、

ダウンクロックすることで静穏化、省エネの両方を一気に解決できるわけです。

 

CPUの消費電力は

(変更後のクロック/元のクロック)×(変更後の電圧/元の電圧)の2乗×元のTDP

で、求めることが出来ます。

たとえを出すなら1.8GHz(1.65V、70W)のCPUを1GHz(1.5V)で動かしたときTDPは

(1/1.8)×(1.5/1.65)の2乗×70=32 よって、32Wですと。

ただし、CPUはクロックが上がっても消費電力が変わらない部分もあるようで

AthlonXPの場合ダウンクロックで+3〜+6Wずれてました。
(オーバークロックでは逆に-3〜-6ずれます)

 

 

では、最後に一言

オーバークロックは自己責任でやってください、以上。