自給自足
  半農半漁
     晴耕雨読
       
物語
自給自足で
自然に暮らす
人生の楽園


 春、夏、秋は大村湾で刺し網漁。夕方網を入れ、翌朝上げに行く。好漁の日、不漁の日、いろいろあるけれど、なにかしらは入ってくれるので、おかずには事欠かない。冬は大村湾名物のナマコ漁とウニ漁。
 ほかにモズク漁、フグ漁、イカ釣り、タコ釣りなどもあり、一年中、海の幸は豊富。
 自給自足がたてまえで「とれただけでいい」と決めているけれど、たくさんとれればもちろん漁協へも出荷するし、近くの直売所へも持って行く。直売所は、安さと新鮮さが人気で、あっという間に売れてしまう。
海からの贈り物

メバル、アイナメ、モズク、ワカメ、アオサ、コノシロ。

キス、イシモチ、メジナ、オコゼ、エビ、シタビラメ、コチ、シャコ、スズキ、ムール貝、バリ、タコ、アサリ、サザエ、アジ。
 朝まだき、船を出す。網を上げていると、やがて朝日が昇ってくる。何度見ても「きれいだなあ」と思う。作業を一時中断し、しばらく見とれる。そして感謝。「お天道様のお陰です。きょうも、よろしく!」。
 刺し網は300m。魚がかかっていれば、底のほうから魚影が白く光るからすぐに分かる。ニヤリとする瞬間だ。

イカ、フグ、アジ、タコ。

ナマコ、ウニ。
畑からの贈り物

アスパラ、キャベツ、ニンジン、ホウレンソウ、レタス、パセリ、コネギ、コマツナ、ブロッコリー、ダイコン、カブ、タカナ、ロケット、スナックエンドウ、ツタンカーメン、シイタケ、ワラビ、ツワ、フキ、タラノメ、セリ、ミツバ、ヨモギ、イチゴ、ハナハジキ、イチゴジャム、イチゴジュース、サクランボシロップ。


 主食の米をはじめ、パン、うどん用の小麦、ソバ、野菜、果物、シイタケまで大地から恵んでいただけるものは、ほぼ自給。無農薬栽培、多品種少量生産で、「できるものはなんでもつくらせていただこう」をモットーにしている。無農薬なので普通の農家よりでき方も少ないし、見栄えも悪いけど、「できただけでいい」と思っているから気にならない。なにより安全なのがよく、味も確か。
 うれしいことに「安全で、そのものの香りと味がするから」と、わが家の野菜や果物を欲しいと言ってくれるファンの方たちが何人もいらっしゃる。
 みそ、醤油、おいしい飲み物、ジュース、ジャムも自家製。手づくりの薫製窯でハムもつくる。


米、サツマイモ、ダイズ、ナス、ササゲ、ショウガ、パセリ、トマト、キュウリ、ダイコン、ニンジン、グアバ、シイタケ。

ジャガイモ、トマト、キュウリ、ナス、ズッキーニ、タマネギ、ニンニク、ミズイモ、インゲン、パセリ、コムギ、ミョウガ、ピーマン、シシトウ、ニガウリ、ソラマメ、トウモロコシ、オクラ、モロヘイヤ、スイカ、カボチャ、シカクマメ、ソーメンカボチャ、コールラビ、モモ、ビワ、ウメ、ウメボシ。
 わが金子農園は、『男女共同参画社会』で、父ちゃんも母ちゃんも一緒に働く。ただし、父ちゃんは漁の担当、母ちゃんはのら仕事の担当と、一応、責任分担制をしいている。とは言うものの、世間の声は圧倒的に「あそこは、母ちゃんのほうが十倍働いてる」。
 確かに、おっしゃる通り。世間の目は正しい。反論はしない。ただ、ひとことだけ言わせていただきたい。父ちゃんは、いままでずっと会社人間でがんばってきた。(ま、母ちゃんだってがんばってきただろうけどさ)。だから、「もう、あんまりがんばるのはよそうよ」「食べられるだけでいいじゃないの」と言っているのです。それで田舎へ来たんだから。
 「Happy-go-lucky」「Take it easy」 のんびり行こうよってね。
 

ジャガイモ、サトイモ、ダイコン、ホウレンソウ、シュンギク、ニンジン、ゴボウ、パセリ、ハクサイ、カブ、ミカン、キウイ、レモン、ソバ。

露天風呂
 海と川から石を拾ってきて庭につくった露天風呂『極楽湯』。
 大村湾を一望する眺めは、まさに絶景。人影がないので、女性でも明るいうちから入れる。家主は混浴を好む。
 刻々と変わって行く夕暮れ時の空と海を眺めながら、そして満天の星を仰ぎながら…。疲れがすっ飛ぶ。
極楽湯
薪で焚く。燃える炎の色を見つめていると、なぜか気持ちが安らぐし、煙の匂いがまたいい。
山からの贈り物
木を切るために山に入るとウサギやタヌキやキジなどによく出くわす。イノシシといきなりご対面したこともある。約3mの距離で対峙。来るか、と身構えたら「ブルッ」と一声、敵は逃げた。しかし、別の日、オオスズメバチの群れに襲われ、背中を4カ所刺された。

炭焼き
 本職の炭焼き師に弟子入りし、炭焼きをマスター。不定期だが、囲炉裏用、掘りごたつ用の炭を自分で焼く。
 炭は、燃料以外にも入浴効果、飲み水の浄化、室内の消臭、ご飯がおいしく炊けるなど使い道も多く、最近注目されている。金子農園にとっては貴重な収入源でもある。
 炭を焼く際にとれる木酢液がまたお風呂に入れればアトピーに効くと言われ、鎮静作用、さらに農薬の代わりに防虫効果も期待できる。