自給自足・半農半漁・晴耕雨読の物語
自給自足で


63 煙突掃除 薪風呂の煙突

わが家の風呂は、
蛇口をひねっただけではお湯は出てこない。
いつまで待っても出てこない。
出るのは水だけ。
その水を湯船にためておいて
かまどで薪をくべ、燃やす。
そうやってお湯を沸かす。
内風呂も、露天風呂もそう、薪風呂。
薪は山で伐ってくる。
たき付けも裏山で拾い集めてくる。
ガスも灯油も使わない。
それじゃ不便だろうと思われるかもしれませんが、
不便です。
でも、不便だけど、嫌じゃない。
風呂焚きは存外、楽しい仕事なのだ。

蛇口をひねれば適温のお湯が出てくれる
近代的な風呂と違って、
薪風呂を沸かすにはそれなりのコツがいる。
慣れない人はまず、火を付けるのに手こずる。
都会から遊びに来た高校生や、大学生で
お手上げ状態の者を何人も見ている。
太い薪にいきなりマッチで火を付けようとしても
それは無理だっちゅうの。
着火剤はありませんかと聞く若者もいるけど、
そんなものはうちにはない。

湯加減も見なくちゃいけないし、
ときどきは、煙突掃除もしなくちゃならない。
近頃、煙突掃除と言っても、
分かってもらえないので説明するけど、
煙を掃き出す筒状のものが煙突で、
その煙突の中には煤(すす=煙とほこりとが
かたまったもの)がたまるので、それを掃除するのが
煙突掃除です。

なに、分からない?
困ったね。
じゃ、こういえば分かるか。
人間の動脈の内壁にコレステロールが付着すると
血管が細くなったり詰まったりして
十分な血流が保てなくなり、心筋梗塞や脳卒中といった
病気になるよね。つまり動脈硬化というやつ。
これと同じでね、煙突の内側に煤がたまると
煙の流れが悪くなって、火が燃えにくくなるのよ。
だから、ときどき煙突の内側を掃除してやる
必要があるってわけ。


裏山から竹を切ってきて、竹ぼうきみたいなもの
(分かるかな?)をつくって棒の部分には細く割った
長い竹を取り付けて、それを煙突の中に突っ込んで
上下させながら掃除をするの。
分からなかったら、こんどやらせるから。


すると、こんなに煤が落ちてくる。
この箱に2杯。
約1年間でこれだけの煤が溜まるんだよね。
その煤はどうするんだって?
何の役にも立たないから、
コレ、捨テローる。